踏み潰してあげる優しさ?

食べ物を踏み潰すという行為は、私のようなフェチ以外の人間ならおそらく全員が批判するだろう。
しかし状況や理由などによってはどうだろうか。


小学生のころの下校途中の思い出。
餌として撒いたのかあるいは落としてしまっただけなのか、うまい棒のようなものがアスファルトの上に落ちており、それを雀がついばんでいた。

うまい棒のようなものは多少形が崩れてはいたが雀にとってはまだまだ大きく、つつき、転がし、咥えはしてもなかなか食べることはできずにいた。
実際はちびちび食べていたのかもしれないが、はたから見ると食べられなくて困っている風に見えた。

私は気にせずそのまま通り過ぎようとしたが、近くにいた女の子がトコトコと雀に近づいて行った。
雀は当然その場を離れていき、うまい棒のようなものだけがその場に残る。
それを見ながら「ちょっと大きいのかな?」とつぶやき、おもむろにうまい棒のようなものを踏みつけ始めた。
女の子の靴は小学生が男女問わずよく履いている運動靴といった感じのもので、靴底もなかなかゴツそうだった。
下がデコボコのアスファルトなのもあって上から踏んだだけではうまく粉々にならず、何度かグリグリと踏みにじってうまい棒のようなものを完全な粉にしていた。

大きな欠片を一通り踏みつけ終わった女の子がその場から距離をとると、その様子を観察していた雀たちが恐る恐るといった感じで戻ってきた。
そして女の子が踏み潰してくれたうまい棒のようなものだったものをついばみ始めた。
細かくなりすぎているようにも思えるが、それでも大きすぎるよりはましなのだろうか。
食べながら時折顔を上げるしぐさが、踏み潰してくれた女の子にお礼を言っているように見えた。

この女の子の行為を食べやすくしてあげて優しいと見るか、踏み潰したものを雀に食べさせてひどいと見るか、地面に落ちていた時点でゴミ同然だからどうでもいいと見るか、人によって意見が分かれるだろう。
私は当然雀になって踏み潰されたものを啄みたいと思ったが、もし本当に雀になったら地面に落ちて泥だらけになったものを食べるのは普通で、踏みにじられていようがなんだろうが普段と変わらない食事風景になるのかもしれない。
つまり雀から見てこの女の子の行為は、ひどいことにはなりえないだろう。


また別の話だが、パン屋やハンバーガーショップは廃棄の食材を捨てる際、靴で踏みつけて圧縮しているという噂がある。私自身目撃したことはないのであくまで噂だが。
この行為に対しても食べ物を粗末にしているという旨の意見が出てくるのだが、これもどうだろう。
廃棄が多いということに対しての苦言ならともかく、既に廃棄が決まりゴミ袋に入れられた食材を靴で踏むという行為を粗末にしていると言えるのだろうか。ゴミ袋に入れられた時点ですでにゴミなのだから。
家庭ごみを捨てる際にはできるだけ圧縮して小さくして出してくれという話があるが、それを当てはめると靴で踏んで廃棄を圧縮するというのはむしろ推奨されるべきなのではないだろうか。ゴミ袋のビニールを削減することにもつながる。
テレビ番組でも、環境配慮のためにかわいい女の子が廃棄食品を靴で踏んで圧縮する、というような特集を組んでほしいものだ。

現実的には女の子より体重がある男のほうが効率よく圧縮できるだろうし、そうなると私としては非常に不本意なのだが。

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